「日本人は愛の語り方を知らない」とイタリア人の友人が言った

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●日本人は愛の語り方を知らない?

大学の頃から始めた趣味の1つにバックパッカーがある。海外一人旅だ。沢木耕太郎の深夜特急を読んで一人旅熱に浮かされた10代の俺は、バーテンダーとホテルマンのアルバイトを掛け持ちしてお金を貯め、長期休暇を利用して旅に興じたものだった。一人で旅をするだけあって、旅先では色々な出会いがあり、色々な国の人と会話する機会が多い。

 

今回書きたいのは、旅の道中を少し共にしたジュゼッペの話だ。某アジアの国の船着き場で出会ったこのイタリア人の男は本当に陽気で気の良いヤツで、お互いサッカー観戦が好きなことから仲良くなり、2〜3日そのまま旅路を共にした。未だにイタリア現地で買ったユニフォームを送ってくれるなど、仲良くさせてもらっている。そのジュゼッペが、あるときこんなことを言っていた。

俺「・・・でさ、花でも買って帰ったら喜んでくれるかなと思って」
ジュゼッペ「それはいいな。で、手紙はなんて書いたんだ?」
俺「手紙って?」
ジュゼッペ「花と一緒に手紙くらい渡すだろ?」
俺「そういうこと? それは考えてなかった」
ジュゼッペ「おいおい、初めて花を渡すんだろ?だったら気の効いた手紙くらい添えるんじゃないのか」
俺「・・・手紙は気恥ずかしいなw イタリアではみんなそんな感じなの?」
ジュゼッペ「もちろん。常に手紙くらいは準備しとくもんさ」
俺「準備って?」
ジュゼッペ「いつでも渡せるように、手紙はいつでも用意しているよ」
俺「用意ってどういうことだよ・・・お前ハンパないな」
ジュゼッペ「そこが違いだよ。日本人は愛の語り方を知らないんだろうな。日本人男性が海外で欧米人女性を連れているのを見たことはないだろ?」
俺「・・・w」

このあと詳しくジュゼッペにイタリア文化について聞いてみたところ、なかなか面白い話をしてくれた。要約すると「女性を褒めるのは礼儀。いくら幸せな気分にさせてもやり過ぎということはない」ということだそう。

●口説く、褒める

日本人がいつも頭を下げて「すみません」っていうのが当たり前のように、イタリア人は常に女性を口説くのが当たり前だという。こう聞くとイタリア男性はチャラいように感じるけど、彼らにとっては女性を口説くのは礼儀であって、常に口説く(=相手の素晴らしさを褒める)ことで相手への尊敬を表しているらしい。

「今日も素敵な髪をしているね」
「笑顔がとてもセクシーだよ」
「君に会えて嬉しいよ」

こんなのは日常茶飯事、あたりまえ。思い返してみれば、ジュゼッペはスーパーのレジの女性にもこんなことを言っていた。

「こんなに笑顔で接客をしてもらったのは初めてだ。君のような素敵な笑顔でお会計をされたお客さんはみんな君の虜だろうね」
「君と出会えた記念にこのレシートに電話番号を書いてくれないかい?一生の記念にするよ」

いつでも愛について語るし、なんでもそこに繋げてしまうのがイタリア人流。彼によると「褒めること」はコミュニケーションにおいてとっても重要だと言う。褒められた方も嬉しいし、褒められた方がいい気分になれば、一緒にいる自分もいい気分になる。だからいっぱい褒めよう。良いことは伝え合おう、と。そういえば以前一緒にシーシャを吸いに行ったときも、流れていたラブソングに「この曲は素敵だよね」と一人コメントをしていたなぁ。イタリアでは何に対しても褒めることが癖づいているらしい。

なお、褒め方のコツは、とにかく細かい描写で大げさに説明することです。それだけありきたりな褒め言葉も唯一無二の褒め言葉に聞こえる。

「勇太くんは本当に他人思いなんだね!」

ではなくて、

「勇太くんは本当に他人思いなんだね!忙しい時でもこの前も俺の相談に乗ってくれたし、たくさんの人が勇太くんのことを信頼してると思うよ。なかなかそこまで相手の気持ちで考えるってできないよね」

みたいな感じですね。

●素敵な関係を継続するために

日本文化では自分の妻を他人に紹介する時、へりくだって「あなたの料理が上手で奥さんはいいねえ。ウチのは本当ダメでね」なんていったりする。付き合うまで、または付き合いたてはラブラブだったカップルも、付き合いが長くなってくるに連れてお互いに対する愛情表現が少なくなってくるなんて言う話を良く聞くが、もしかしたらこれは謙遜の日本文化に根ざしたものなのかもしれない。「付き合ったばかりのドキドキする恋愛感情は3年以上はもたない」なんていうのも良く聞く。でも、イタリアではそう思っている人はまずいないだろう。

 

イタリアのみならず、西洋では一生ラブラブが当たり前。どこの国にいるときでも、老夫婦が手をつないで睦まじくデートをしている姿などを良く見かける。スロベニアやフランスなど、俺も色々な国に行ったことがあるが、カフェで幸せそうに語り合っている中年・老夫婦なんかを見るたびに頬が緩んでしまったのを思い出す。

 

相手のいいところはどこか、相手をどれだけ愛しているか、相手がどれだけ魅力的か、どれだけ相手のことを考えているか、その他相手が言われて嬉しくなることを常に伝え続けていることで、70歳、80歳になってもずっと幸せな関係を保ち続けることが出来るんだと、社会全体で示している例だと思う。

 

こういう話をすると、「イタリアより日本の方が離婚率が低いと思うけど・・・」のような話をされることがあるが、主観だがそれはあくまで惰性で夫婦関係を続けているカップルが日本には多いからだと思う。検索エンジンで「夫」と入れて、スペースを入力してみて欲しい。その後にどんな文字を入れても、大抵悪い言葉がサジェスト機能で現れる。思うに、日本では、「子供のため」「周りの目が」などと理由をつけて「空気を読んで」離婚しないカップルが多いから離婚率が相対的に低く見えるのではないかな。

 

一方、イタリア並びにヨーロッパ諸国の目線で見ると、彼らは「一緒にいるのは一緒にいて幸せだからだ。幸せになれないのなら離婚した方がいい」という価値観に基づいて生きている人が多い気がする。だから、離婚率は日本より高いかもしれないけれど、一緒にいる夫婦の”幸せ度”は日本人のそれと比べ物にならないほど高いのではないかと思う。だから離婚した後も、お互いがその状況に納得して幸せに暮らせている人も多い。結局どちらがいいかの価値判断になるけれど、俺はイタリア人のスタイルのほうが好きだ。

 

ジュゼッペのようにとりあえず口説くのが良いかは分からないけれど(彼はただのチャラい男だと思う)、「とりあえず褒めてみる」のはきっと正解。イタリア人思考でいた方が、もっともっとパートナーと幸せな関係を築けるようになるのではないだろうか。

 

俺のイギリス人の友人に「彼女が俺のことを全く褒めてくれないんだ。俺のこと本当に好きなのかな?」なんて心配していた人がヤツがいた。彼の日本人彼女はというと、「口に出して褒めないから愛情が少ないと思うなんて、この男、バカじゃないの?」「言葉じゃなくて相手の心を読めよ。浅い奴だな」と一蹴に付していた。

 

そこで俺はこの話を友人彼女に伝え、ジュゼッペが教えてくれた褒めるコツ3原則を(面白かったので)彼女に伝えた。その後どうなったのかは分からないが、友人カップルは今でも仲睦まじく過ごしている。

【褒める三原則】
・相手の良いところを見ようとする
・相手が褒められなれていないところを褒める
・自分の感情を隠さず伝える(美味しい、嬉しい、好き、など)

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